このページは レイトレ Advent Calendar 2025 の記事として制作しました。
Volume Rendering 方程式に基づいてパストレーシングをすると、 写実的な絵を作ることができます[Fong et al. 2017]。 Volume Rendering 方程式は Radiative Transfer 方程式とも呼ばれ、 微分形で次のように書かれます:
$$ (\Omega\cdot\nabla)L(\bm{x},\Omega) = S(\bm{x},\Omega) + \sigma_s(\bm{x})\int_{\mathcal{S}^2}f_p(\Omega,\Omega') L(\bm{x},\Omega')d\Omega' - \sigma_t(\bm{x})L(\bm{x},\Omega) $$
写実的な絵を作ることができるのは、放射輝度 $L$ を運ぶ光線が、散乱係数 $\sigma_s$ に応じた割合で媒質に衝突し、 位相関数 $f_p$ で与えられた方向に散乱するという数理モデルが、現実をよく再現できることを示しています。
媒質による光の吸収や放射がある場合も、 $S=\sigma_aL_e$ と置くことで、光の増減のバランスを取ることができ使い勝手が良いです。
ただし、発光のメカニズムや散乱係数、吸収係数、そして位相関数 $f_p$ が事前に分かる場合はいいのですが、 そうでないときは自力で物理現象をモデル化する必要があります。
現代の物理では、幸いにして光の吸収や放射の起源は原子・分子との光子のやり取りであり、散乱もまた同様であることがわかっています。 このような物理的背景がわかれば、Volume Rendering 方程式を使った表現の幅も広がることが期待できます。
そこで、この記事では原子・分子と光子のやりとりから始め、 光子から電磁波、電磁波から光線と粗視化の階層を順に辿ることで、 Volume Rendering 方程式の背景にある物理を調べます。
もくじ
2026. ishiyama